地政学において、エリアに関する重要な基本概念が「ハートランド」と「 リムランド 」です。
それぞれの言葉の意味と考え方を見ていきましょう。
「ハートランド」と「 リムランド 」とは?
「ハートランド」とは、ユーラシア大陸の中心部のエリア(主にロシア)
マッキンダー(地理学者・政治家)が20世紀初頭に提唱した理論で、ユーラシア大陸の中心部を支配した国が全世界を支配できる可能性が高い最重要エリアと位置付けました。
ユーラシア大陸の中心部=心臓部(ハート)と考えられることから、ハートランドと名付けられました。
「リムランド」とは、主にユーラシア大陸の海岸線に沿った沿岸部のエリア
スパイクマン(地政学者)が提唱した理論で、ハートランドを取り巻く周辺地域(リムランド)の地政学的重要性を強調し、これらの地域の安定が世界の平和に不可欠であるとしました。
マッキンダーの理論に対し、「世界を制する者はハートランドを制するもの」でなく、「リムランドを制するものはユーラシアを制し、ユーラシアを制するものは世界を制す」と主張した。
また、ハートランドの周縁(リム)であることから、リムランドと名付けられました。
リムランドに含まれるエリア
- ヨーロッパ
- 中東
- 中央アジア
- 東南アジア
大きな紛争は「 リムランド 」で起こる
リムランドは、豊かで人口が多く経済活動が盛んで世界の多くの都市がある特徴があります。
その為、他国に影響力を持つにはリムランドの支配が重要になってきます。
突然ですが、ここでハートランドとリムランドは「シーパワーとランドパワー」どちらに分類されるか考えてみましょう!
ハートランドは、内陸部に位置するため必然的に「ランドパワー」に分類されます。
一方で、リムランドは沿岸部に位置するため「シーパワー」に分類されると考えられますが、小規模な国なのでシーパワーとは呼べず、周辺のシーパワー国家に影響を受けやすい場所に分類されます。
ランドパワーのハートランドは豊かなリムランドを支配しようと侵攻しにくるので、リムランドは「紛争の地」になりやすいです。
つまり、上記の図のように、「ランドパワーのハートランド」と「シーパワー勢力」が対立し合う場所がリムランドになります。
歴史的にみても、大規模紛争のほとんどはリムランドで起きています。
リムランドで起きた大規模紛争
- 朝鮮戦争(1950年〜)
- ベトナム戦争(1955年〜)
- アフガニスタン紛争(2001~2021年)
- イラク戦争(2003年〜)
リムランド は魅力的な女性
前回の記事「シーパワーとランドパワーとは?」で、シーパワー国家の方がランドパワー国家より性格的にモテそうと書かせていただきました。
そして今回、ハートランドはランドパワーに分類され、リムランドはシーパワー勢力とランドパワー勢力の紛争の地になりやすい事がわかりました。
つまり、リムランドという豊かで魅力的なエリア(女性)を奪い合っているのが、シーパワー国家(男性)とランドパワー国家(男性)になる訳ですね!
リムランドはどちらかと言うと、シーパワーの影響を受けやすいので今のところ、シーパワー国家の方が優勢かもしれません。
しかし、ランドパワー国家の”押し”にコロっといってしまうかもしれなのでまだわからないです(笑)
まとめ
- 「ハートランド」とは、ユーラシア大陸の中心部のエリア
- 「リムランド」とは、主にユーラシア大陸の海岸線に沿った沿岸部のエリア
- 「ランドパワーのハートランド」と「シーパワー勢力」が対立し合う場所がリムランド
- リムランドは魅力的な女性
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