中東の地政学リスクを高める要因のひとつになっているのが『 クルド人 問題』です。
2023年には、埼玉県の川口市にある医療センターの前でもみ合いが起こる騒動がありました。
今回は、クルド人問題と地政学リスクの関係について見ていきましょう。
クルド人 とは?
トルコ・アルメニア・イラク・イラン・シリア国境の高原地域に暮らす人々のこと。
「国を持たない世界最大の部族」と呼ばれ2500万人~3000万人います。
今までの歴史上、一度も国を持ったことがありません。
なぜ クルド人 は国を持っていないのか?
『クルド人の故郷である高原地域が5カ国の国境線で分断されているため、各国の少数民族として扱われていること』が原因です。
当然、各国では不遇な扱いが起こり自国を作ろうと思っても作れないのです。
各国でクルド人が占める割合
・トルコ→19%
・アルメニア→0.1%
・イラク→23%
・イラン→13%
・シリア→10%
クルド人の歴史
16世紀→「オスマン帝国」と「サファビー朝ペルシャ」の衝突により、クルディアン(クルド人が住んでいた場所)に境界線が引かれ両大国に分割される
20世紀→オスマン帝国が解体され、イギリスから国家の建設が認められたが、オスマン帝国の後継国となるトルコに反対され国家樹立がなくなる。さらに、イギリスとフランスがクルディアンに線を引き国境を策定。
この結果、クルド人は各国に組み入れられ、それぞれの国における少数民族にされてしまいました。
民族や領土問題は地政学リスクを高める
悲惨な歴史背景の中でトルコで長く不遇の扱いを受けてきたクルド人は1978年にPKK(クルド労働者党)を結成。
テロによる独立運動を展開しますが、テロはさらなる迫害につながり、難民化するケースが後を立たなくなりました。
川口市などの在日クルド人の多くも難民の一部です。
2017にはイラク北部で「クルド人自治区」の独立を問う住民投票が行われ賛成多数でしたが、政府と国際社会はこれを認めませんでした。
まとめ
- クルド人は、トルコ・アルメニア・イラク・イラン・シリア国境の高原地域に暮らす人々のことで「国を持たない世界最大の部族」
- 国を持てない原因は、クルド人の故郷である高原地域が5カ国の国境線で分断されているため、各国の少数民族として扱われているため
- 今だに独立運動が認められず難民化するケースも多くなり、中東の地政学リスクを高めている
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